春季カタル治療の強い味方タクロリムス。当院でも重症春季カタルで著効例を認めています。ただ、春季カタルは眼結膜の乳頭増殖、輪部結膜の腫脹や隆起などの増殖性変化がみられる難治性アレルギー性結膜炎のため治療が長期にわたることも多いです。そこで気になるのが、タクロリムス有効だけど、長期投与問題ない?というところ。下記論文では30例の長期使用例での経過がまとめてあり、結論からいうと長期投与安全ですよ。という結果。ただ1例投与38か月で上皮性単純ヘルペス角膜炎を発症しています。当院では2年以上点眼している方はいますが幸いにも感染などの合併症は発症してませんが、論文発表の例もあるので、症状に変化あったら受診するよう促さないといけないなあと再確認。最近アトピー性皮膚炎の治療では症状が出たときに治療するリアクティブ治療と、症状の出る前から、予防的に治療するプロアクティブ治療の2種類があります。再発の多いアトピー性皮膚炎の場合、リアクティブ治療ではうまくコントロールしにくいため、現在では、徐々にプロアクティブ治療が推奨されるようになってきました。つまり、調子がいい時は点眼回数を減らしたり、中止したりして、ぐあいを見ながら治療するということ。当院でも点眼合併症をおこさないためにプロアクテイブ療法をとりいれ、リスク軽減に取り組もうと思います。
文献 春季カタルにおけるタクロリムス点眼薬の長期使用成績 品川真有子・他 臨床眼科71巻30号 2017年 3月