円錐角膜アップデート

常に医学は進歩していて、勉強し続けないといけません。以前常識だったことが常識でなくなったり、新しい発見があったり、はっとすること多いです。今月の日本の眼科は円錐角膜がテーマ。勉強したことをまとめてみました。

最近の15年間で円錐角膜治療は大きく変化。2003年に円錐角膜の進行を停止させる治療である角膜クロスリンキング*が登場する前は円錐角膜は診断できても治療法のない疾患でした。しかし、現在円錐角膜は進行抑制が可能な疾患、つまり早期診断、早期介入が必要な疾患と変化しました。

10歳代の円錐角膜はほぼ100%進行します。円錐角膜が進行していると判断されたら角膜クロスリンキングをすすめます。(保険適応外)以前言われていたハードコンタクトレンズによる進行抑制効果はありません。日常生活では目をこする行為は進行を促進する可能性があるのでこすらないよう指導が必要です。10歳代は進行する確率が高いため2から3か月毎の視力検査と角膜形状検査を繰り返し行うことが必要です。20代後半になると進行する確率が減少するため6Mごとの検査、30代後半では12Mごとの検査をおすすめします。

中年以降も進行する場合は円錐角膜の類縁疾患であるペルーシド辺縁角膜変性を疑います。

円錐角膜では乱視が強くなるため、ハードコンタクトでの矯正をすることが多いのですが、年齢による涙液の変化、創傷治癒スピードの低下などの影響によりハードコンタクトレンズのデザイン、ベースカーブ、サイズなどのパラメーターの何を変更してもハードコンタクトレンズがあわなくなることがあります。(方法があります。

円錐角膜研究会では専門施設の情報をのせています。http://keratoconus.jp/about_kc/facilities.html

*角膜クロスリンキングとは リボフラビンと長波長紫外線を用いて角膜実質コラーゲン繊維の架橋をふやすことで角膜の剛性をあげ円錐角膜の進行を停止させる治療法。90%以上の症例で円錐角膜の進行停止が得られる